ウクライナ南部クリミア半島のロシア編入を宣言した18日のプーチン大統領の演説を放映したテレビ局に反発し、ウクライナ民族主義の極右政党「自由」の国( スヴォボーダ)会議員ら5人が同日、首都キエフのウクライナ国営第1チャンネル本部に侵入し、パンテレイモノフCEO(最高経営責任者)を暴行し強制的に辞表を書かせる 騒動があった。同党は欧米が支援するウクライナ新政権に参加しており、新政権内で民族主義色の濃い空気が生まれている状況が浮き彫りになった。
地元紙によると、CEOは「視聴者には知る権利がある」と主張したが、議員は「ロシアのプロパガンダに加担した」と述べた。欧州放送連盟(EBU、本部ジュネーブ)も19日、非難声明を出した。
新政権内の極右勢力の「暴走」が、ロシアの新たな介入を招きかねないことから、新政権はバランスを取ることに苦慮している。ヤツェニュク首相は18日の演説で、欧州連合(EU)首脳会議が開かれる21日にEU加盟に向けた「連合協定」の一部に署名する方針を表明。
だが、EUが要求する自由貿易協定部分については「(ロシアと結び付きの強い)ウクライナ東部の工業地帯にマイナスの影響もある」と、署名に慎重姿勢を示し、ロシアへの配慮も見せた。